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エンタメ小説 SUGOI 20
バラカ
作品名

バラカ

著者名
桐野夏生
出版社・出版レーベル
集英社
刊行
2016年2月刊行

バラカと名づけられドバイで売られた少女は、震災後に棄民の象徴となった。未来に警鐘を打ち鳴らす著者渾身のディストピア小説。

STORY

東日本大震災で起きた原子力発電所事故の影響により警戒区域に指定されたT市郊外で、ボランティアの老人は幼い少女を発見する。「ばらか」としか話さない少女はなぜ、ひとりでそこにたたずんでいたのか――。舞台は震災前にさかのぼる。日系ブラジル人の娘として日本で生まれ育ったミカは、両親とともにドバイに移り、人身売買マーケットに売られてしまう。バラカと名づけられた彼女は、日本の出版社に勤務する沙羅(さら)に買われて日本に戻るも、その生活は幸せなものではなかった。やがて被災した彼女がたどる数奇な運命と、震災後の“未来”とは。

作品の魅力

本作は、東日本大震災を通じて変化した人々の日常や意識、日本の現状が大きなテーマだが、同時に、働く女性が子供や家族をもたないことへの世間の目や焦り、人身売買される子供の現実を組みこむことで、物語の重厚さが増している。本作では震災後の首都機能が大阪にうつり、東京は棄民と呼ばれる被災者たちの住む荒廃の地として描かれる。甲状腺ガンを発症したバラカの周囲には、棄民の象徴として彼女を利用しようとするさまざまな思惑が渦巻き、命の危険にもさらされる。現実にありえたかもしれない、また、今後ありうるかもしれない未来を描くことで著者は警鐘を打ち鳴らし、震災への鎮魂を物語に込めているのだ。

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