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エンタメ小説 SUGOI 20
月世界小説
作品名

月世界小説

著者名
牧野修
出版社・出版レーベル
早川書房 ハヤカワ文庫JA
刊行
2015年7月刊行

無数に枝分かれした妄想世界で続けられる、神と人類の闘争。人類が手にした武器は物語る力。幻覚的イメージに満ちたアクションSF。

STORY

LGBTの祭典で賑わう町に、突如空から天使の群れが舞い下り、ラッパを吹き鳴らした。その直後、地面は裂け、巨大な蝗が人びとを襲い始める。大混乱の中、愛する人を失った作家の菱屋修介(ひしや・しゅうすけ)は、目をつぶって妄想の世界に逃避。やがて自分の名を呼ぶ声に目を開けると、そこには妄想の中にしか存在しないはずの「月世界」が広がっていた。人びとの妄想によって生まれる無数の現実。その中で人類は、世界をひとつのあるべき姿に戻そうとする神と長きにわたる戦いをくり広げていた。修介も物語る力を武器に強大な敵に挑んでゆく。

作品の魅力

妄想によって生まれた複数の奇妙な世界が、並行して描かれてゆく。ある世界で菱屋修介だった人物が、もうひとつの世界ではヒッシャー・シュスケットとして登場してくる、といった人物の対応も面白い。人類の武器は、言葉の力によって相手に影響を与える「言語兵器」。銃弾ではなく言葉が飛びかう奇妙な戦闘シーンが、この作品の大きな見所だ。性的マイノリティの作家・菱屋の目線を通して語られる本作は、人はなぜ物語を求めるのか、という切実なテーマを孕んでおり、エンタメ好きの胸を揺さぶる作品になっている。
(※本作品内では「神」と表現されておりますが、ここでは「神」に統一しております)

DATA

・2015年、「SFが読みたい!2016年版」(国内篇)第2位。
・2016年、第35回「日本SF大賞」特別賞受賞。

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