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エンタメ小説 SUGOI 20
火星に住むつもりかい?
作品名

火星に住むつもりかい?

著者名
伊坂幸太郎
出版社・出版レーベル
光文社
刊行
2015年2月刊行

監視と密告、罪を認めない限り終わらない取り調べと公開処刑。行き過ぎた管理社会で保たれる平和に、正義の味方が立ち向かう!

STORY

交代制の安全地区に指定された町の住民は、監視と密告をしあうことで平和を維持する。だが、平和警察に連行された人間は、必ずギロチンにかけられる。たとえその身に一切の覚えがなくとも――。次々と危険人物がとらえられ、犯罪件数は減っていくのを論拠に、激化する取り締まり。その年に安全地区に指定された仙台でもまた、善良だと思われていた医師をはじめ、広場で多くの人間が首を落とされ、見物人は歓喜する。だが、異様な高揚に満ちたその町に現れたのは、黒ずくめの「正義の味方」。謎の武器を操り平和警察にたてつくその男は、町に本当の平和をもたらしてくれるのか。

作品の魅力

本書で描かれているのは、中世の魔女狩りの再現である。集団心理の暴走が導く偏狂的な世界を、おとぎ話や過去の訓話ではなく、今まさに起きる可能性のある現実として提示している。また、行き過ぎた取り締まりを行う平和警察の存在も、感情的に悪として描くのではなく、制度としての是非を問う結論に導いている。人それぞれによって異なる平和や正義の基準を考えさせる一方で、ちりばめられた伏線をつなげたラストのどんでん返しや、悪人さえもユーモアたっぷりに描く著者ならではの筆致で、エンターテインメントとしても存分に楽しめる作品となっている。

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