SUGOI JAPAN

NOVELS SUGOI 20
ヨハネスブルグの天使たち
作品名

ヨハネスブルグの天使たち

著者名
宮内悠介
出版社・出版レーベル
早川書房 ハヤカワ文庫JA
刊行
2013年5月刊行

刊行年月は単行本が出版された年月になります。

ビルからの落下を繰り返すロボットに、戦災孤児の少年少女は交信を試みる……。近未来を舞台に人間の本質をあぶりだすSF短編集。

STORY

近未来、南アフリカのヨハネスブルグのスラム化した円柱型の超高層ビルでは、1日1回DX9というロボットが大量に落下していた。DX9は“歌姫”と呼ばれる日本製のボーカロイドロボットで、内戦が勃発して企業が撤退した後もプログラムに従って自動的に落下耐久試験を繰り返していたのだ。ビルに住む戦災孤児のスティーブとシェリルは、そのうちの一体と交信を試みるが……。ヨハネスブルグ、ニューヨーク、アフガニスタン、イエメン、東京で落下するDX9を媒介に現代社会が抱える問題、人間の本質をあぶり出す連作SF作品集。

作品の魅力

今や世界中で熱狂的な人気を集める少女型ボーカロイドソフト“初音ミク”がDX9のモチーフになっている。そんなロボットが各国の紛争地帯、そして東京で大量に落下し続けるという残酷でありながら抒情的な美しさを感じさせるイメージが秀逸。また、人間同士が争いを続ける中で、生きる人間の意識を転写され、再プログラミングされて兵器に転用され、ただ利用されるDX9の姿は人間の普遍的な業をも写し出す。ハードな近未来のディストピアを描きながらも、本書はその世界が私たちの住む現在と地続きであることを提示している。

DATA

・2013年、第33回「日本SF大賞」特別賞受賞。
・2013年、第149回「直木賞」候補作。