SUGOI JAPAN

NOVELS SUGOI 20
戦場のコックたち
作品名

戦場のコックたち

著者名
深緑野分
出版社・出版レーベル
東京創元社
刊行
2015年8月刊行

戦場で奮闘するコック兵と仲間たち。生と死の残酷な対比からナチスのユダヤ人迫害まで、ミステリー仕立てで描く第一級の戦場小説。

STORY

1944年、合衆国軍のコック担当兵となったティムは、19歳ではじめてノルマンディーの戦地に降り立った。頭脳明晰なエドやお調子者ディエゴ、調達名人の機関銃兵ライナスなどと行動をともにしながら、ティムは、基地で忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎や、オランダでの激戦中に起きた夫婦怪死事件などの奇妙な事件に遭遇する。調理に奮闘しながら事件を解明していくなかで明らかになる戦争の現実と、次々に犠牲になっていく仲間たち。戦争の狂気のなかで彼らが体験したことの衝撃と失ったものはあまりにも大きかった。

作品の魅力

第二次世界大戦中のヨーロッパを舞台に、その最前線で戦った兵士たちの非日常と日常をミステリー仕立てで見事に融合させた作品。人の命をつなぐ者が人の命を奪う兵士の食事を作り続け、仲間の死が当たり前になってしまった状況でも食べ続ける者たちの姿を通して描かれる、生と死の強烈な対比が脳裏に焼き付く。作中で起きる事件を通して戦争の実態を暴き、ナチスによるユダヤ人迫害の惨状を突きつけ、戦争の悲惨さと人間の愚かさを訴えかける高いメッセージ性も胸に刻まれる。帰還兵として残りの人生を生きる者たちの心情を綴ったラストが深い余韻を残す。

DATA

・2015年、「このミステリーがすごい!2016年版」(国内編)第2位。
・2015年、「ミステリが読みたい!2016年版」(国内篇)第2位。
・2015年、「週刊文春ミステリーベスト10」(国内部門)第3位。
・2015年、第154回「直木賞」ノミネート。
・2015年、第18回「大藪春彦賞」ノミネート。