SUGOI JAPAN

NOVELS SUGOI 20
渦森今日子は宇宙に期待しない。
作品名

渦森今日子は宇宙に期待しない。

著者名
最果タヒ
出版社・出版レーベル
新潮社 新潮文庫nex
刊行
2016年3月刊行

地方都市の高校の部室に流れるかけがえのない時間。宇宙人少女の目線から描かれる、ユーモラスでちょっぴり切ない青春小説。

STORY

17歳の女子高生・渦森今日子(うずもり・きょうこ)は、UFOに乗って地球にやってきた宇宙人だ。オカルト好きの男子生徒・白上(しろかみ)によって設立された「宇宙探偵部」のメンバーである彼女は、親友の岬、柚子(ゆず)とともに部室でアイスクリームを舐め、おしゃべりに興じるという平和な日々を送っている。そんなある日、学校でUFOを目撃したという生徒が現れた。部員たちはその正体を探るべく夜の校舎に忍びこむ……。白上の熱意に引きずられ、奇妙な事件に巻き込まれてゆく今日子たちの日常が描かれる。

作品の魅力

宇宙の謎を探る部活動に本物の宇宙人が紛れこんでいる、という設定に興味を惹かれる。といっても今日子の内面は、地球人の女の子と変わらない。コンビニのアイスの固さや定まらない進路に思い悩む日々が口語体の一人称で綴られてゆく。「異星人か地球人かということだけで、人間を判断できるわけもない」というのが本書の基本的なスタンスだ。オカルトに情熱を燃やす白上、彼に片思いしている岬、原宿に憧れる律など、他の部員たちも魅力的に書き分けられている。詩人として活躍する著者が、17歳という特別な時期を見事に再現した、ポップで切ない青春小説。