SUGOI JAPAN Award2016 マンガ、アニメ、ラノベ、エンタメ小説。日本のスゴイ!を、世界のスゴイ!へ。

今の日本を代表する作品が今年も決定! SUGOI JAPAN Award2016 贈賞式レポート

吉田尚記さん

 日本のSUGOIを世界へ。世界にも通用する日本の優れたポップカルチャー作品を、「マンガ」「アニメ」「ラノベ」「エンタメ小説」の4ジャンルにおいて選出する、史上空前の国民投票「SUGOI JAPAN Award 2016」。2回目となる今回は総数6万5294票にもおよぶ投票と、2万7000以上もの熱い応援メッセージが集まり、3月22日、各部門の受賞作品が発表された。
 アニメ部門ノミネート作品の選定にも関わったニッポン放送アナウンサー・吉田尚記さんを司会に迎え、各部門の1位から5位までが投票者の応援メッセージとともに発表された。
 各部門1位は以下のとおり。マンガ部門/『ワンパンマン』、アニメ部門/『四月は君の嘘』、ラノベ部門/『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』、エンタメ小説部門/『屍者の帝国』。
 贈賞式では各部門の関係者が登壇し、トロフィー、賞金目録、表彰盾が贈られ、それぞれ選定委員の代表者が総評コメントを述べた。

マンガ部門

ONEさん

村田雄介さん

 司会の吉田尚記さんも「オタクの一人として心強い」と述べたランキング結果。『ワンパンマン』の原作者のONEさん、漫画家の村田雄介さん、二人そろっての登壇となった。
 もともと、ONEさんがWEB上で発表していた同作に村田さんが魅了され、Twitter上でコンタクトをとったというのが二人の出会い。村田さんのファンだったONEさんは、最初は驚きのあまり偽物ではないかと疑ったというが、村田さんにプロデュースされる形で商業デビューとなった経緯を披露。一方で村田さんは、『ワンパンマン』の魅力を生かすために、ONEさんに電話で相談することもあったという。そんな二人三脚がもたらした今回の受賞に、二人は互いへの、そしてファンや関係者への感謝を述べるとともに「多くの方々に楽しんでいただける事が何よりの喜びです。これからも励みたいです」(ONE)、「ONE先生の描くサイタマの魅力をより伝えられるよう今後も研鑽を重ねます」(村田)と語った。
※作品誕生秘話などを語ったお二人へのインタビューはこちら。

【選定委員コメント】さやわか氏(ライター/物語批評)

さやわか氏

「1位に選出された『ワンパンマン』は、昔からあるヒーローものを新しい解釈で描いており、WEB発マンガという点も現代を象徴する作品。しかも海外での評価も高まってきている、まさにSUGOI JAPANにふさわしい作品です。2位以下の作品も、定番のジャンルを独特の切り口で描いた作品ばかり。対象期間3年半のなかで20作品に絞るのは、人気のある作品はもちろん、マンガの特徴である多様性をも盛り込まねばならない非常に難しいミッションでしたが、期待以上の結果を得られましたし、どの作品も自信をもって海外におすすめできるものだと思います」

アニメ部門

監督のイシグロキョウヘイさん

監督とともに登壇したA-1 Picturesアニメーションプロデューサー・福島祐一さん(中)、アニプレックスのプロデューサー斎藤俊輔さん(右)

 アニプレックスとしては、昨年のアニメ部門1位、そしてグランプリに輝いた『魔法少女まどか☆マギカ』に続いての連続1位受賞となった『四月は君の嘘』。司会の吉田さんが「字幕がなくても世界に伝わる」というとおり、華麗で美しい演奏シーンと、涙が止まらなかったという最終回に注目の集まった作品だ。
 アニプレックスおよびA-1 Picturesのプロデューサーとともに登壇した監督・イシグロキョウヘイさんは、「原作者の新川先生や講談社の皆様、制作スタッフ、どのピースが欠けても完成しませんでした。全スタッフを代表して、選んでくださったファンの皆様にお礼を申し上げます。初監督作品で受賞という高いハードルを飛び越えていけるよう今後も良い作品を作っていきたいです」と受賞の言葉を述べた。また、アニメと原作がほぼ同時に最終回を迎えるという共同作業や、注目や評価の集まった音楽シーンの制作の裏話を語った。
※原作へのリスペクトが導いた制作秘話を語った監督インタビューはこちら。

【選定委員コメント】森川嘉一郎氏(明治大学准教授)

森川嘉一郎氏

「今回対象となった2014〜15年の日本のアニメの全体的な傾向として、「わかりやすいウリ」よりも「観てはじめて良さがわかる」という、少し前なら企画を通すこと自体が難しかったと想像されるような、内容勝負の作品が多かった印象です。これは視聴者のアニメを見る目の成熟が、作り手や出資者の志や判断に反映されるようになったことの現れで、その成熟ぶりが投票結果によって裏付けられたと思いました。その視聴者層の“眼”をどのように海外の一般層へ広めていくかが、この事業の主催者側の今後の課題だと思います」

ラノベ部門

大森さんの担当編集者、SBクリエイティブの小瀧健太郎さん

 英語版で読んでいる、というスペイン人ファンからもコメントが寄せられた『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』。登壇した担当編集者に「このような作品を世に広めることが編集者としての使命」といわしめた同作は、著者の大森さんにとっては、ほとんど初めて書いた小説。WEB上で大人気を博し、投稿してみたらそのままデビューとなったという大森さんは、緊張の面持ちで登壇し、「この作品でデビューしてからめまぐるしい変化に翻弄されるばかりでしたが、さらにこのような賞をいただき驚きと感謝でいっぱいです。大声で誇りたい反面、受賞を機に初心に戻り『もっと読みたい』と思ってもらえる作品を国内外に向けて書いていきたいと思います」と語った。
※デビューまでの道のりなどを語った大森さんのインタビューはこちら。

【選定委員コメント】前島賢氏(ライター/評論家)

前島賢氏

「『ダンまち』だけでなく、4位の『オーバーロード』もまたWEBの小説投稿サイトで生まれた作品。近年、影響力を増しているオンライン小説がライトノベル界をどのように変えていくのか楽しみにしているところです。オンライン小説の影響は日本だけにとどまらず、今話題の映画『オデッセイ』もまた、WEB上で発表されていた小説『火星の人』が話題となりハリウッドで映画化された作品です。日本発のネット小説もぜひ、いずれハリウッド映画化される勢いを見せてくれたらと願っております」

エンタメ小説部門

著者の円城塔さん

故・伊藤計劃さんのご両親(左)と円城塔さん(右)

『屍者の帝国』は、デビューしてからわずか2年で早逝した作家・伊藤計劃さんの書き遺した文章を、親交のあった芥川賞作家・円城塔さんが引き継いで完成させた作品だ。贈賞式では、円城さんだけでなく、ちょうど二日前に八回忌を迎えたばかりだという伊藤さんのご両親も登壇し、受賞と円城さんに対する謝辞を述べた。
 本来ならば、伊藤さんが新作とともに1位を受賞してこの場に立っていただろう、と生前の伊藤さんをふりかえった円城さん。「この場に立てたのはひとえに伊藤計劃の力。彼の着想をもっと違う形で生かせたのではないかと未だにうなされます。彼が亡くなって一昨日で七年、彼の残した影響力の強さには恐怖さえ感じるほどですが、いずれは彼に勝ちたいという想いでこれからも自分の作品を書いていきたいです」と語った。

【選定委員コメント】市川真人氏(評論家/早稲田大学准教授)

市川真人氏

「近年、伊藤計劃作品を卒論や研究の対象に、ジャンルを超えた21世紀の文学の可能性について論じ、語り継ごうとする学生が増えています。その伊藤さんと、純文学とSFから同時にデビューした円城さんの合作が、映画公開とともに1位となったことに、“様々な力があわさったときに最大限に読まれていく”同時代的なメディアとエンターテインメントの可能性と在り方が、よく現れていると思います。」

佐野ひなこさん

 また会の締めくくりには、スペシャルゲストとして女優・佐野ひなこさんも登壇。「最近はマンガなどを原作とした作品に出演することも多いのですが、その影響で、海外の方に声をかけていただく機会も増えています。原作となる作品があるからこそ仕事の幅も広がり、海外へも羽ばたいていけるのだと思うので、これからもぜひ作品を作り続けていただきたいと思います」と語った。
 盛会のうちに幕を閉じたSUGOI JAPAN Award2016。すべての作品が国境を越えて羽ばたいてくことを期待したい。

(取材・文=立花もも/よみうり大手町ホールにて)
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