SUGOI JAPAN Award2016 マンガ、アニメ、ラノベ、エンタメ小説。日本のスゴイ!を、世界のスゴイ!へ。

スペシャルレポート 2016 Vol.01 JAPANマニアな外国人が本音で語る 日本コンテンツのSUGOIところとは?
  • Matt Alt
    (マット)
     1973年、米国ワシントンDC生まれ。米国特許商標庁にて翻訳家として勤務後、2002年より(株)アルトジャパンの取締役副社長。ゲームソフト『ドラゴンクエスト8』や海外向け電子書籍『ドラえもん大全集』『大長編ドラえもん』の全巻英訳などを手掛ける。
  • Alexander O. Smith
    (アレックス)
     1973年、米国バーモント州生まれ。翻訳者。出版社ベントー・ブックスの設立者の一人。翻訳会社(株)カジヤ・プロダクション代表。『ブレイブ・ストーリー』(宮部みゆき)、『容疑者Xの献身』(東野圭吾)、『ハーモニー』(伊藤計劃)などの翻訳を手掛ける。
  • Benjamin Boas
    (ベンジャミン)
     1983年、米国ニューヨーク州生まれ。英日翻訳家、ライター、慶應義塾大学訪問研究員。2007年、フルブライト奨学金を得て京都大学大学院人文科学研究所にて「麻雀と社会」を研究。『日本のことは、マンガとゲームで学びました。』(小学館)の原作者。

JAPANマニアな外国人が本音で語る
日本コンテンツのSUGOIところとは?

―― 外国人有識者座談会
マット&アレックス&ベンジャミン

 日本のSUGOIを世界に伝えたい――そんな想いで昨年スタートした第1回「SUGOI JAPAN」では、マンガ、アニメ、ラノベ、エンタメ小説、各部門の「SUGOI 50」が選定された。だが、実際にこの作品群を見て、海外の人はどう感じるのだろう? 彼らは、日本のどこをSUGOIと感じるのだろうか?
 そこで、日本コンテンツに詳しい国内在住の3名の外国人有識者に集まっていただき、「SUGOI 50」の感想から日本コンテンツを海外へ発信していくために必要なことまで、本音で語り合っていただいた。

次の『ハリポタ』や村上春樹をめざすのではなく、
ニッチな市場を狙い成功していくことが大事

――まずは、前回の各ジャンルの「SUGOI 50」をご覧になっての感想をお聞かせいただけますか。

マット すばらしい作品ぞろいですね。日本のマンガ・アニメや小説の幅の広さを感じさせるチョイスだと思いますし、個人的に好きな作品もたくさんノミネートされています。でもやっぱり、自分が好きだからといって海外でウケるとは限らないんですよね。ですので今日は、海外に評価される可能性のある作品、という観点でお話したいと思います。
 まずはマンガ部門から、吾妻ひでお先生の『失踪日記』。アルコール中毒になった自分との戦いを描いた自伝作品ですね。70~80年代に流行った先生のロリコン系マンガを知らなくても十分楽しめるコンテンツだと思います。海外では、自分との戦いや何かを乗り越えた過程を描いた体験記が流行っていますし、アメリカでも、オルタナティヴ・コミック(アメリカにおける、アメコミのスーパーヒーロー物のようなメジャー作品以外のコミックの総称)においてはこうした自伝的作品が圧倒的に多いですからね。今はインターネットの時代なので、口コミで広がればジャンルを問わずヒットする可能性があります。

 それから『妖怪ウォッチ』。アメリカでは『ポケットモンスター』が大ヒットしましたから、誰もがその次に続く作品を探しています。ゲーム、マンガ、アニメのクロスオーバーを狙えるという点でも可能性は大きいと思いますね。
 ただ、“妖怪”は“モンスター”と置き換え可能なので海外でも通じますが、ネックなのは日本的な世界観が設定されていること。たとえば、こたつ、お年玉、餅に炊飯器など。日本人にとっては日常的な当たり前のアイテムが外国人にはわからないので、それらが物語に深くかかわっている場合にはストーリーを理解できなくなる可能性もあります。私は『ドラえもん』の英訳に携わり、素晴らしい作品だとは思っていますが、のび太たちの過ごす昭和的な日常を翻訳するのが何より難しかった。他にも、日本人にとって“学園もの”は定番ジャンルのひとつですが、先生が交代で教室に訪れる日本と異なり、アメリカでは生徒自身が授業ごとに教室をめぐるスタイルです。つまり、一日中ひとつの教室で過ごす固定されたクラスメート、というものが存在しない。学園生活が物語の主体となる作品も、翻訳のハードルが高くなりますね。

ベンジャミン 同じ学園ものでも、『暗殺教室』のような作品は受け入れられやすいと思います。教室のありようやクラスメートとの交流は確かに理解しにくいですが、描かれているのはもっと根源的で純粋な感情です。「先生をぶっとばしたいなあ」と思うことは、かつて僕にもありましたし、普遍的なテーマなので感情移入がしやすい。地球侵略に訪れた奇妙な宇宙人をみんなで力をあわせて倒す、というストーリーには、学園ものというよりSFとしての面白さがあります。実際、この作品はNYタイムズの「MANGA Best seller list」にランクインするほど人気(2015年9月13日、5巻が9位に)。このランキングには『進撃の巨人』『ワンパンマン』、『東京喰種』などが名を連ねていますね。
 アニメでは、イギリスのUK anime networkというサイトで『魔法少女まどか☆マギカ』が、「21世紀における最高のテレビアニメ」と評価されました。ニッチな市場ではありますが、昨年のグランプリ結果と通じているところにSUGOI JAPANの可能性を感じますね。

アレックス マットさんの言うように今はインターネットの時代ですから、めざす市場はニッチでいいと思うんですよ。次の『ハリポタ』や村上春樹を狙うのではなく、ニッチにおける成功をめざすほうが重要ではないかと。そういう意味では、繊細でユニークな表現をもちいた『おやすみプンプン』を海外に紹介したいですね。
 小説では、最近は湊かなえさんの『告白』がアメリカで大人気です。翻訳者が優れていることも功を奏しました。とりわけエンタメ小説では、翻訳が非常に重要なんですよ。純文学ファンはそもそも「努力して読もう」という気概があるので多少難しくても構わないのですが、エンタメ小説はとにかく面白くなくては駄目。翻訳小説だということを感じさせない、物語に没入させる文章を書ける人でないと。小説はマンガやアニメと違ってビジュアルで補完することもできないので、翻訳者の適性を見極めてマッチングさせることも重要ですね。アメリカでベストセラーになるには日本同様、何かしらの賞を獲らなくてはなりませんが、下手な翻訳者にあたるとそれだけで賞も逃してしまいます。

――翻訳者であるアレックスさんから見て、今後受け入れられていく可能性のありそうな作品はありますか。

アレックス エンタメ小説のジャンルで言うと『向日葵の咲かない夏』ですね。映画『シックス・センス』のようなテイストで馴染みやすいですし、日本という舞台が直接的に物語に関与しないので、文化がわからなくても読めるというのがポイントです。その観点でいうと『ディスコ探偵水曜日』もいいですね。舞台がユニバーサルですし、登場人物のキャラクター性に魅力を感じるのは日本でもアメリカでも同じです。ですが文体が独特なので、翻訳者よりも日本語の分かる小説家に訳を頼んだほうがいい気がします。
 『64』『ジェノサイド』は、近々、アメリカの大手出版社から出版される予定です。『64』のような警察小説では日本特有の文化が描かれがちですが、たとえば捜査一課なんて単語はアメリカの部署に置き換えてしまえばいい。物語に関与しない細部はシンプルに。無駄な障壁を立てて面白さを損ねないよう、ローカライズをすることが重要です。そうすればミステリーとして海外の人でも十分楽しめるはず。『ジェノサイド』は世界を舞台にしていますし、海外の空港書店にも並ぶような作品になれると思いますね。
 『本にだって雄と雌があります』のような文学色の強い作品はなかなか戦略が難しいですが、いきなり英訳出版するのではなく、雑誌『ニューヨーカー』などの文学者が目をつけそうな媒体に、その作家の短編を掲載するといいかもしれません。村上春樹さんがそうであったように、有識者の作家評価が高まったあとなら、出版してヒットすることも十分ありえます。

ベンジャミン あたりまえですが、作品によって評価される場所は異なりますよね。たとえば『銀の匙』は、いま話題の日本食をつまびらかにする作品。カナダのコンコルディア大学で日本史を教えている友人、マシュー・ペニー先生は、『銀の匙』を「こんな食文化があるのだ」という学術的な教材として使用しているそうです。日本をすでに知っていて、もっと知りたいと思っている、だけど難しい参考書ばかり読むのはいやだ、という人には最適のマンガです。日本のマンガにはこのようなニッチな需要の高いものが多い。たとえば『弱虫ペダル』のように自転車をフィーチャーした作品というのはこれまで存在しなかったので、僕のような自転車ファンにはうれしい限りです。視点の新しさは大きな武器です。『LIAR GAME』のように心理戦を描いた推理小説のようなマンガはアメコミには存在しませんし、個人的には格差社会に関心の高まっている今だからこそアメリカで売り込めばいい結果を出せると思いますね。
 それからもうひとつ、ゲーム『桃太郎電鉄』で日本の地理を学んだゲーム好きとしては今後「ゲーム部門」の新設も検討してほしい(笑)。アプリ市場もまだまだ開拓の余地がありますよ。

すばらしいのは、“日本的なもの”ではなく
日本人にしか見えない視点でつくられた世界

――海外では“日本的なもの”、たとえばニンジャやゲイシャ、わびさびといった情緒などがウケるのかと思っていましたが、必ずしもそうではないのでしょうか。

マット 確かにそのとおりなんですが(笑)、おそらく重要なのはそこではありません。
 日本のマンガは海外に比べて歴史も古くとても先進的。50年代以降に厳しい表現規制を受けたアメリカで、アメコミが全盛期を迎えたのは結局90年代に入ってからです。葛飾北斎の時代から職人技を進歩させてきた日本のマンガはテーマ性も深く表現力も多彩なのですが、そのぶん弱点もある。お手本とすべきマンガがたくさんあるせいで、今のマンガは黄金時代の国内マンガを源流にしたものがとても多くなっているのです。
 かつての日本のマンガ家は、目線がもっと外に向いていたと思うんですよ。海外の作品にも影響を受けて育っていたから、必然的にSFやファンタジー、時代劇の作品が多かった。大友克洋監督の『AKIRA』は典型的な海外ヒット作品ですが、学生デモ、日本の大都市化、新興宗教、大震災といった歴史や時事問題を踏まえたうえで描かれており、そのことが作品の力となっている。実際に起きた現実を、大友先生が自分の目というフィルターを通して表現しているからこそ面白いんです。ほかにも、黒澤明監督の映画『七人の侍』も海外でヒットした、一見いかにもなジャパニーズ作品ですが、彼はハリウッドやドイツなど世界中の映画作品に多大な影響を受けている。先人たちはそのように自分の価値観だけでなく、外部からの眼差しや世界の価値観を取り入れていました。最近の作品は、そんな過去の作品だけを消費したものが多く、描かれる夢の規模が縮小した気がします。他国の文化を知っていくことも、いい作品を創るうえでは不可欠です。そうすることでおのずと“日本的”なものも表れてくるのではないでしょうか。

アレックス 日本的だからSUGOIのではなく、日本でしか生まれてこないような発想がSUGOIんですよ。たとえば『数学ガール』は高度な数学と高校生のロマンスをくみあわせた小説で、日本人以外の誰がこんな設定を思いつくだろうと感嘆しました。わかりやすいのに、新鮮。そんな作品をもっと生み出していってほしいのです。マットさんが言及した『AKIRA』は、よく「戦争で敗北した日本人だからこそ描き得た物語だ」と評されますが、まさにそのとおりで、歴史的背景を背負った日本人だからこそ思いつく被虐的なストーリーであり、力強さもある。これこそが“日本人らしさ”だと思いますし、ニッチな市場にもウケるのはそんな力を持った作品たちです。

――『数学ガール』のような、日本人にしか思いつかない設定の作品というのは他にもありますか。

ベンジャミン 『毎日かあさん』は独特だと思いますね。アニメ・マンガ作品で母親が主人公になるというのはそれだけでかなり珍しいです。アメリカでは家族みんなで観られる作品かどうか、というのがとても大きなファクターなので、母親を中心とした作品は少なくない。けれどそれをマンガやアニメでやる、というのが新しかった。既にあるものをちがう媒体で新たに作る、というのが画期的だったんです。
 それから先ほど、学園生活を中心にした作品は受け入れられにくいという話がありましたが、日本のマンガ・アニメが海外に輸出されはじめたころ、『らんま1/2』や『きまぐれオレンジロード』などの作品が非常に人気でした。僕も夢中になっていたひとり。なぜなら、退屈な高校生活を送っていた僕にとって、らんまが見せてくれる世界は非日常の喜びに満ちていたからです。僕自身は平凡な高校生だったけれど、壁を乗り越えて走って学校へ行ったり、パンダと戦ったり、道場のある家に居候していたりという描写は、僕をわくわくさせてくれました。それはらんまが“世界”を見せてくれていたから。そんな非日常の躍動感こそが日本作品のスゴさだと思いますね。

マット 女の特性を持った男が強い、という設定はあまり海外では普及していないので、そこも面白いですよね。日本では源義経の時代から連綿と続く“美少年もの”というジャンルがありますが、海外では、美しい男はたいてい弱いものとして描かれがちです。

アレックス 『アイアムアヒーロー』で、1巻の終盤までゾンビ的なものが一切出てこないのは驚きましたね。主人公がまったくヒーローらしくないアンチヒーローの構図自体は海外にもよくありますが、「ゾンビものなのにゾンビが出てこない」という大胆さはとても日本人らしい。

マット 『テルマエ・ロマエ』もそう。お風呂をレンズに世界を構築するなんて、世界一お風呂を愛する日本人にしかできません。日本的なものを大げさにアピールするのではなく、日本人の感性というレンズを通して世界を見ています。内向きの世界観というのはそれはそれで大事。『新世紀エヴァンゲリオン』は監督の“心”が強く反映された非常に素晴らしい作品ですが、『エヴァ』のようなものを作りたいと、あの作品だけを手本に縮小再生産を繰り返していては世界を広げていくことは難しい気がします。

アレックス 私は日本人が描く無国籍な世界、『十二国記』のようなファンタジー作品などを紹介していきたいと思っているのですが、それもまた、日本人の感性をベースに世界が作られているからなんですよ。異世界だから日本的なアイテムが登場しすぎなくて翻訳しやすいというのもありますが。

――“日本らしさ”でいうと、少女マンガをはじめとする乙女的な感性を活かした作品群は、日本独特のものではないかと思うのですが、海外ではどのように認知されていますか。

ベンジャミン アメリカでもっともヒットした日本のアニメは『千と千尋の神隠し』です。アメリカには、少女を主人公とした作品がそもそも少ないので、それだけで新鮮に映り、受け入れやすかったのかもしれません。

マット 『キルラキル』は少女マンガではないですが、女性が「私でも戦える」と思う作品だったこともよかったのかもしれませんね。アメリカでは『アナと雪の女王』が大転換をもたらした作品となりましたが、日本ではすでに若い女性を主人公とする文化が根づいています。それは大きな特徴のひとつであり、魅力のひとつでもあると思います。

ベンジャミン アメリカの市場は明らかに男性向けですしね。作品に男性の視点があったほうがいいのは事実ですが、だからといってとらわれ過ぎる必要はないと思います。アメリカにはそもそも、少女マンガ、少年マンガというようなジャンルの区分がありませんから。むしろ既存の枠組みにとらわれず、自由に発想していったほうがいいでしょう。ジブリ作品は少女マンガをベースとした部分も多いですが、アメリカでも十分、商業的に成功しています。

アレックス ただ、少女マンガは学園を主体とした恋愛ものが多いというのは多少ネックかもしれません。マットさんも言っていたように、学園生活と日本人らしい日常を物語の軸にしてしまうと、言語的にも文化的にもどうしても翻訳が難しくなってしまう。
 それから、アメリカでは間接的でナイーブなロマンスがあまり流行っていない、というのもハードルのひとつとしてはあるでしょう。映画化もされた小説『トワイライト』のようなロマンス作品も人気ですから、少女小説に可能性がないわけではないのですが、あれは相手役が吸血鬼という設定が欧米人好みということも大きいですからね。

マット 『秒速5センチメートル』は特徴的ですよね。アメリカではすぐにキスしてしまうところを、日本の作品ではかなりの時間をかけますし、直接的な描写がないことも多いですから。

ベンジャミン アメリカでも、日本的なじれったいロマンスに需要はあります。ですが大ヒットするかというと別問題で、どうしても直接的なロマンスのほうが売れるという現状はある。そういう意味では、ハーレクイン小説をマンガ化すれば、かなりウケると思いますよ。(すでにされていると聞いて)え? しているんですか? でも英訳はされていませんよね。電子書籍でも配信されているなら絶対に英語版をつくるべきです。

アレックス 女性向けロマンスでいうと、官能小説である『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』が全世界的にヒットしましたね。電子書籍が普及して、女性が手に取りやすくなったのもよかったのだと思います。女性向けの官能小説のプロモーション手法として、海外ではたいてい、まず作家の知名度をあげるんですよ。そしてそれは必ず女性作家。内容的にはハードなんだけど、作家自身がウェブサイトを立ち上げて女性同士のコミュニティをつくり、その立ち位置を確立してから作品を出版するんです。やはり戦略的なプロセスは大事ですね。

海外との交流を積極的にはかり、
国際的になることでメガヒットをめざす

――これまで、“日本らしさ”はニッチ市場でウケる、というお話が多くありましたが、『ハリポタ』のようなメガヒット市場に繋げていくにはどのような方法があるのでしょうか。

ベンジャミン たとえば日本では、本来ニッチな市場でウケるはずのAKB48が主流になっていますね。でもこれは、日本だからこそ可能だったのだと思います。日本人はバブルが弾けた後に一般的に消費行動が縮小したけれど、オタクたちは、たとえばひとつのCDを何十枚、何百枚も買うなど、自分たちの好きなものに惜しみなくお金を注ぎ続けてきました。それがAKB48を一般的な代表格として押し上げたのでしょうが、海外では、そういうお金の使い方はマニアでもあまりしないんですよ。

アレックス アメリカ人は、消費することが好きですから、一つのものだけでなく、まんべんなくお金を注ぐ傾向にある。ニッチを主流にするためには、日本市場と同じやり方をしていては難しいと思います。

マット コアなファン、というのが日本では経済的に大きな役割を担いますからね。 ただ、ニッチな作品を足掛かりにしてメジャーを目指す、ということであれば可能でしょう。まずはニッチ市場に進出して、作品を重ねて名前を確立する。そこから大多数に馴染みやすい大物作品を打ち上げることができれば、メガヒットも狙えるはず。かなり計画的に作品作りをしていかなくてはならないので、簡単ではないと思いますが。

アレックス 『ハリポタ』が日本の学園モノと大きく違うのは、わかりにくさを排除しているところ。イギリスの学校制度が反映されているとはいえ、魔法を使うファンタジー世界が前面に押し出されているのでアメリカ人にもわかりやすい。でも勘違いしてほしくないのは、日本人が『ハリポタ』のようなもの、アメリカにウケそうなものをつくる必要はないということ。日本人の書く日本人らしいものでないと意味がないし、面白くない。そうではなくて、よい作品を支援するための仕組みをつくっていくことが大事なんです。SUGOI JAPANのようなランキングを発表していくことは大事な一歩だと思いますよ。あたりまえですが、作品を紹介していかないことには市場は動かないですし、まずは海外との交流を図ることが肝要です。
 サンプルを流通させる、というのもひとつの手かもしれません。作者が自分で翻訳するのは難しいでしょうから、たとえばファンに翻訳してもらったものをまずはネットブックとして無料で配信する。そこで人気が出たり、出版社の目に留まったりすれば、商業的に市場に向けて展開していける可能性も生まれる。もちろんクオリティの問題はありますが、ギャンブルすることも大事だと思いますね。

マット あとは、本当に海外進出したいのならアニメの製作委員会に外国人を入れる、といった取り組みも必要ではないでしょうか。マーケットをちゃんと知っている人間はいたほうがいい。

ベンジャミン 日本人が日本人だけで海外市場の予測をたてるのがいちばん危険ですね。それは不可能だと認識したほうがいい。アメリカの「Anime News Network」を通じて、実際に現地のファンや有識者と交流することも可能だと思いますよ。海外ではどういう観点でウケているのかを知るにはいちばん簡単で効率的ではないでしょうか。SUGOI JAPANも、もっと海外ファンに認知されるように進めてほしいですね。日本でも国際的なマンガやアニメのフェスティバルを開催してくれれば、交流を深めていけると思います。

アレックス そういう場にはぜひ、マンガ家や小説家の方々にも参加してほしいですね。日本の作家さんはどうしてもシャイな方が多いので、海外の賞を受賞して招聘されても辞退されることが多いので。

マット 簡単に言ってしまえば、海外で売れるためには作家も国際的な人にならなくてはいけない。海外のニュースを見て、海外の情報を知る。そんな意識も持ってもらいたいです。

(2015年9月17日、東新橋にて/取材・文=立花もも)

  • スペシャルレポート 2016 Vol. SUGOI JAPAN Award2016 贈賞式レポート
  • スペシャルレポート 2016 Vol. コスプレ撮影ならではのコツがここで学べます。 Cosgenic Lesson
  • スペシャルレポート 2016 Vol. 国民投票 結果発表!
  • スペシャルレポート 2016 Vol. SUGOI JAPAN Award2016 イメージソング発売決定! 『WAKE ME UP!』 沢井美空 2016.3.2.on sale
  • スペシャルレポート 2016 Vol. 投票してGET! SUGOI JAPAN福袋の中身大公開!!
  • スペシャルレポート 2016 Vol.7 アニメの持つメッセージは きっと世界に伝わる
  • スペシャルレポート 2016 Vol. いよいよラストスパート!これが大激戦の先頭手段だ!!
  • スペシャルレポート 2016 Vol.1 スゴイ!学生ファンの主張 第8限:アニメ 東京大学 アニメーション研究会
  • スペシャルレポート 2016 Vol.1 スゴイ!学生ファンの主張 第7限:マンガ 早稲田大学 漫画研究会
  • スペシャルレポート 2016 Vol.1 スゴイ!学生ファンの主張 第6限:ラノベ 早稲田大学 SOS団早大支部
  • スペシャルレポート 2016 Vol.6 世界に羽ばたくアニメの可能性
  • スペシャルレポート 2016 Vol. 国民投票 TOP5 中間レポート
  • スペシャルレポート 2016 Vol.1 スゴイ!学生ファンの主張 第5限:エンタメ小説 早稲田大学 ワセダミステリ・クラブ
  • スペシャルレポート 2016 Vol.5 世界に羽ばたくラノベの魅力
  • スペシャルレポート 2016 Vol.4 世界に羽ばたくエンタメ小説の魅力
  • スペシャルレポート 2016 Vol. A応P SUGOI JAPAN Award2016 公式サポーター
  • スペシャルレポート 2016 Vol.3 『ワンパンマン』誕生秘話!こんなにもおもしろい理由が明らかに
  • スペシャルレポート 2016 Vol. ユリコ タイガー SUGOI JAPAN Award2016 アンバサダー 兼 チーフ・エグゼクティブ・コスプレイヤー
  • スペシャルレポート 2016 Vol.2 世界に躍進する日本コンテンツ、 海外での本当の実力は?
  • スペシャルレポート 2016 Vol.1 スゴイ!学生ファンの主張 第4限:アニメ 慶應大学 アニメカルチャー研究会
  • スペシャルレポート 2016 Vol.1 スゴイ!学生ファンの主張 第3限:マンガ 慶應大学 慶應漫画クラブ
  • スペシャルレポート 2016 Vol.1 スゴイ!学生ファンの主張 第2限:ラノベ 京都大学 SF・幻想文学研究会
  • スペシャルレポート 2016 Vol.1 スゴイ!学生ファンの主張 第1限:エンタメ小説 東京大学 新月お茶の会
  • スペシャルレポート 2016 Vol.1 JAPANマニアな外国人が本音で語る 日本コンテンツのSUGOIところとは?

2015

  • スペシャルレポート 2015 Vol.17 キャラクターの力で創る新たな英雄譚『七つの大罪』鈴木央
  • スペシャルレポート 2015 Vol.16 声の演技を通じて思いを伝える!梶裕貴
  • スペシャルレポート 2015 Vol.15 リリカルかつ美しい映像で 世界を魅了する 新海誠
  • スペシャルレポート 2015 Vol.14 マンガは心の栄養補給 溢れるマンガ愛 生駒里奈
  • スペシャルレポート 2015 Vol.13 私の大好きな本 海外に紹介したい本 蒼井優
  • スペシャルレポート 2015 Vol.12 アニメの力で 日本を牽引するクリエイター 新房昭之
  • スペシャルレポート 2015 Vol.11 世界累計1400万部超!『ソードアート・オンライン』 川原礫
  • スペシャルレポート 2015 Vol.10 私がオススメする!この小説、このマンガ 池澤春菜
  • スペシャルレポート 2015 Vol.8 「ラノベ」と「エンタメ小説」ジャンルを超えてノミネート! 冲方丁
  • スペシャルレポート 2015 Vol. マンガやアニメだけじゃない、パフォーマンスで世界へ! が~まるちょば
  • スペシャルレポート 2015 Vol.7 20周年を越えて さらに世界へ飛翔する セーラームーン
  • スペシャルレポート 2015 Vol.6 アニメ、実写映画、展覧会、その激震が世界へ拡大する 進撃の巨人
  • スペシャルレポート 2015 Vol. 美しすぎるロシア人コスプレイヤーだらけの屋形船 アニメ マンガ愛がポロリ!?
  • スペシャルレポート 2015 Vol.5 コスプレイベント仕掛け人が明かすロシアが日本に夢中な理由
  • スペシャルレポート 2015 Vol.4 日本人の知らない日本コンテンツの魅力
  • スペシャルレポート 2015 Vol. ギレルモ兄貴のスゴイお言葉
  • スペシャルレポート 2015 Vol.3 日本オリジナル!少女マンガ世界へ
  • スペシャルレポート 2015 Vol.2 日本の文学を海外の文学賞が注目
  • スペシャルレポート 2015 Vol.1 世界に羽ばたく日本コンテンツの実力