SUGOI JAPAN Award2016 マンガ、アニメ、ラノベ、エンタメ小説。日本のスゴイ!を、世界のスゴイ!へ。

エンタメ小説 SUGOI 20
火花
作品名

火花

著者名
又吉直樹
出版社・出版レーベル
文藝春秋
刊行
2015年3月刊行

天才だけど売れない先輩芸人と、彼に憧れる新人。漫才のような会話を通じ、現役芸人である著者が「笑い」と「才能」を描き切る。

STORY

新人お笑い芸人の徳永は、営業先の熱海のお祭りで先輩芸人の神谷に出会う。突出した才能を持ちながらも武骨で不器用な神谷の人柄に、徳永は出会ってすぐに惹かれる。「俺の伝記を作って欲しい」と言う神谷の言葉に従い、徳永は天才・神谷と行動を共にするようになるが、時が流れるにつれ少しずつテレビ出演するようになった徳永に反して神谷の生活は荒んでいく。やがて膨んだ借金を抱えて姿をくらませた神谷が、徳永に示したものとは……。

作品の魅力

現役の人気お笑い芸人が「お笑い」を書いたことで注目を集めた本作だが、描かれているのは安易な業界の裏話ではなく、才能や笑いの何たるかを突き詰めたテーマ性の高い文学作品になっている。実際の漫才のようにテンポのいい徳永と神谷のやりとりはが読者に読み心地の良さを与える一方で、どこまでも貪欲で真摯なお笑いへの追求も目の当たりにさせられる。私小説ではないものの、著者自身が芸人であることは作品に生々しさと切実さをもたらしている。静謐な文章の合間に流れる優しく穏やかな時間と、どれだけ才能があろうと商業的な成功がなければ無意味であるという過酷な現実との対比が読者の心を揺さぶる。ラスト数行の衝撃の展開を笑うか、怒るか、悲しむか、それは読者に委ねられている。

DATA

・2015年、第153回「芥川賞」受賞。
・発行部数、209万部突破(2015年時点)。

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