<エンタメ小説>
ノミネート作品「SUGOI 50」

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俺俺

<作品名>

俺俺

<著者名>

星野智幸

<出版社・出版レーベル>

新潮社 新潮文庫

<刊行年>

2010年刊行

刊行年は単行本の出版された年になります。

STORY

「俺=永野均」は、ハンバーガーショップで隣に座った男・大樹から盗んだ携帯電話を使い、大樹の母に俺俺詐欺を働く。だがなぜか大樹の母は、永野のアパートへ押しかけてきて「永野=大樹」だと言い張る。大樹の家に行くと、家族写真に映っている「大樹=俺」なのだ。そして実家には、自分より少しイケメンの「俺」がいた。さらに、自分より若い大学生の「俺」も現れる。世界に増殖する「俺」たちは、心の機微がまったく同じだから一緒にいると心地がいい。だがやがてどこもかしこも「俺」だらけになると、自分以外の「俺」を削除しようと殺しあいが始まる……。

作品の魅力

この作品では、世の中に自分しかいなくなることのユートピアと地獄が描かれる。社会に存在するのが同じ考えを持った自分だけなら、コミュケーションは完璧だ。また、「自分探し」をする必要のない気楽さが、スラブスティックな展開のもと巧みに進められていく。同時に、考えや行動がすべて同一の自分がたまらなくうっとうしいさまも、ぶれのない筆致で描かれる。その心の葛藤は、誰もが持つ普遍的なテーマで文学性も高い。同時に、「俺」同士の大殺戮は、第一級のホラーエンターテインメントでもある。

DATA

・2011年、第5回「大江健三郎賞」受賞。
・2013年、実写映画化。